行雲流水

エッセイ

雨が降らないワケ

空を見上げると灰色の雲が立ち込めていた。久しく雨が降っていないので、ここらで一雨降れば涼しくなるかと思い期待したが、希望は叶わなかった。
「あ~ぁ、雨が降ると思ったのに残念」と愚痴ったら、妻が「あまりにも暑いから、降った雨が空で蒸発したのよ。だから雨が降らないのよ」と真顔で言う。

聞き間違い

妻に頼まれた1人一袋(5箱入り)限りで安く買えるティッシュペーパーを買いにウォンツまでに来た。会計時、「袋は白と黒どちらになさいますか?」と聞かれたので「白で」と答える。しかしなぜか黒の袋に入れられた。「俺、白って言わなかったっけ」と文句を言い、入れ替えてもらう。
帰宅後、妻に「このティッシュじゃない」と言われる。

ガンダムオルフェンズのミカヅキを弔う息子

3日間かけて、息子(5歳)にアニメ『ガンダムオルフェンズ』を全話見せた。飛ばし飛ばしだったが、思いの外楽しんでくれたようだ。

17時、私と妻息子の3人で近所のYAMADA電気へ出かけた。おもちゃ売り場の一角にオルフェンズの主人公(ミカヅキ)が乗っていたガンダム(バルバトス)のプラモデルがあった。息子に見せたら、「ほしいほしい」とプラモの箱を手に取るなり、胸に抱えた。

家に帰るやいなや、「作って」とせがんでくる。一緒に作ることとお風呂に入ってからの条件を出し、プラモ作りを約束。入浴後、椅子を並べて一緒に作り始めた。そういえば、一緒に遊ぶことはあっても、一緒に何か作るのは初めてかもしれない。

プラモを作りながらオフフェンズの感想を聞いてみる。
「誰が一番好き?」
「ミカヅキ!」
「最後、負けて死んじゃったね。どうだった?」
「悔しかった。俺、めっちゃ悔しかった」
笑顔で答えていたが、好きなキャラが死んだことへの悲しみが滲んで見えた。もしかしたら、主人公ミカヅキが乗っていたガンダムを作るのは、息子なりの弔いなのかも知れない。

深夜1時。睡魔に負けた息子は、カーペットの上で眠りについている。今夜は徹夜になりそうだ。

 

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「たまご」と「かまぼこ」

冷蔵庫の卵がなくなったので買い出しに行くことに。少し足を伸ばして、質のよい食品が置いてあるスーパーまで来た。でもここのスーパー、なぜかいつも卵が売り切れている。もしかしたら私が卵を探しきれていないのだと思い、今回は店員に尋ねてみることにしてみた。売り場で何やら記録を付けている店員を発見。「すみません。いいですか?」「はい、なんでしょうか?」「卵はどこにありますか?」「あっ、こちらです」と丁寧にもその場所まで連れていってくれた。案内された場所はかまぼこ売り場だった。

「あお」と「きいろ」

プレゼント用のチョコレートを買おうと市内のデパートへ。チョコを売っているお店を1店舗ずつ見て周り、めぼしい物をチェック。最初に見たお店のチョコレートに決めた。そのお店に戻り12個入りを注文。プレゼント用であることを伝え、包装してもらうことに。店員から「リボンの色が3色あります。黄色と青とピンクです。どれになさいますか?」 包装紙が黄色かったので私は「青で」と答えた。「わかりました。黄色ですね」「えっ……、あ、はい」

 

同類

妻と話すのは疲れる。わざとボケているのではなく、素でボケているからだ。
最近、こんなことがあった。

私が好んで飲んでいるコーヒーがなくなりそうになったので、スーパーに行った際に買ってきてほしいと妻に頼んだ。スーパーから帰った妻は「売り切れてた」と残念そうに報告した。そこで終わりにしておけばいいものを、妻は加えてこんなことを言った。「きっと〇〇人が買い占めたのよ。あのコーヒーが売り切れることなんて今までなかったのに」。

私は深いため息をついてからこう諭した。「何の根拠があってそんなこと言うんだ。棚に20個も30個も置いてある商品じゃないんだから、自然に売り切れることだってあるだろ」と。「だって……」と言いながらも渋々納得してくれた。

確かにうちの地域は特定の国の人が多い。妻は何度かその非常識ぶりを目の当たりにしている。だからと言って、根拠なくそういう発言はするもんじゃないし、私自身こういった発言を身内から聞くと本当に疲れる。あまりにもバカすぎて。

2日後、スーパーから帰ってきた妻は興奮しながら私にこう叫んだ。「スーパーに行ったらコーヒーが入荷してた! なくならないうちに全部買い占めてきたよ!!」「お前も同じゃねーか!」本当に疲れる。

 

 

ボタンの留め忘れ

自分でも不思議に思うのだが、割と頻繁に上着の第3ボタンを留め忘れてしまう。出かける前に気づけた時は幸いなほうで、一日中そのまんまだったってことが多々ある。それにしても、なぜいつも第三ボタンなのか。第2でもなければ、第4でもない。決まって第3ボタンなのだ。私特有の盲点ではないかと疑っている。

今日も出かける前、鏡を見たら第三ボタンを留め忘れていた。おっと危ない。しっかりと留めなくては。注意を向けておいてよかった。

3時間後。外出先でズボンのチャックを締め忘れていることに気づく。