行雲流水

エッセイ

家族のこと

雨が降らないワケ

空を見上げると灰色の雲が立ち込めていた。久しく雨が降っていないので、ここらで一雨降れば涼しくなるかと思い期待したが、希望は叶わなかった。「あ~ぁ、雨が降ると思ったのに残念」と愚痴ったら、妻が「あまりにも暑いから、降った雨が空で蒸発したのよ…

ガンダムオルフェンズのミカヅキを弔う息子

3日間かけて、息子(5歳)にアニメ『ガンダムオルフェンズ』を全話見せた。飛ばし飛ばしだったが、思いの外楽しんでくれたようだ。17時、私と妻息子の3人で近所のYAMADA電気へ出かけた。おもちゃ売り場の一角にオルフェンズの主人公(ミカヅキ)が乗っていた…

同類

妻と話すのは疲れる。わざとボケているのではなく、素でボケているからだ。最近、こんなことがあった。私が好んで飲んでいるコーヒーがなくなりそうになったので、スーパーに行った際に買ってきてほしいと妻に頼んだ。スーパーから帰った妻は「売り切れてた…

妻は捨てられない

うちの妻は物が捨てられない。捨てられないどころか、好んで物を貯めようとする。デパートやスーパーの買い物袋は100枚以上溜め込み、本棚に収まり切らなくなった本類は300冊を優に超え、蔵っているロフトが今にも崩れ落ちそうである。安くなった食材があれ…

一枚の絵

我が家のリビングには、一枚の絵が飾られている。2年前、私が暇つぶしに描いた菜の花の絵だ。なぜそんなものが飾られているかと言うと、私の描いた絵を見た妻が、「この絵、好き。家に飾ろう」と言い出したからだ。自分ではうまいと微塵も思わない。「いいよ…

勝間和代の整理術

合理化・効率化の鬼 勝間和代氏のブログに「収納スペースの半分しか物を入れなければ、整理整頓をそもそもする必要がなくなる」といった趣旨の記事がアップされた。流石は勝間和代だ。整理術も他とは一線を画している。早速、物を捨てることが苦手な妻に記事…

母の姿

「死ぬのが怖い。夜、病室に一人になるのが怖いから、誰か一緒にいてほしい」。そう懇願したのは、余命いくばくもない母方の祖母だった。あんなに気丈だった祖母が弱々しくなっている。私と弟は同情して、慰める言葉をいくつかかけた。だが、母だけは違った…

まほう

「今からね、パパが魔法でチョコレートを出してあげるからね」。そう言って隠し持っていたチョコレートを箱に入れて息子に手渡す。箱の中を覗いた息子は、「わぁ」と声を上げ、明るい顔を見せた。翌日、もう一度喜ぶ顔が見たくて、魔法を見せることにした。…

意地が悪い

「あなたって、本当に意地が悪い」このセリフは、週に20回妻から言われる。今日も言われた。夕刻、些細な喧嘩から妻は「家を出ていく」と言い、玄関を出た。この言葉は額面通りのものではなく、「頭にきたから買い物をしてくる」の意味を含んでいる。3時間後…

地元情報誌

2年ほど前から、我が家にも『リビングひろしま』が投函されるようになった。投函される以前、「うちにはリビング入らないの?」と妻に尋ねたら、「うちは商圏に入っていないみたいだから入らないね」と言われ、少し寂しい気持ちになったのを覚えている。初め…

ときめかなかった掃除

妻は私と正反対で捨てるのが苦手なタイプだ。そんな妻が珍しく掃除を始めた。「どうやって捨てる物を決めようか」とぼやいていたので、「ときめかない物から捨てればいいんだよ」と、どこからか仕入れた知恵を授けてみる。「全部ときめくから迷う」と妻。「…

朝、寝てたでしょ

朝9時頃、私のiPhoneが鳴った。今日のその時間は、私も妻も寝ており、二人ともiPhoneの音で目が覚めた。そのまま出ることなく着音が終わるのを待った。電話の主はすぐにわかった。「ピンポーン」と玄関のチャイムが鳴ったからだ。我が家に来るドライバーは…

弟夫婦

長野県の実家には、私の背広などを残している。帰って先でも仕事ができるようにだ。ある日、実家に戻ってタンスを開けると、背広をはじめ、コートなどがなくなっていた。「あれ、服がない」と探していたら、弟が「ああ、服ならてっちゃん(親戚)に売ったよ…

チャレンジはしないほうがいい

普段着ない服へのチャレンジは、得てして失敗に終わる。ファッションだけでなく、料理でも同じことが言えるのだろうか。妻は、料理で冒険する。私はつゆほどもそんなことは望んでいない。今日は、甘酒にココアを入れてきた。妻に味の感想を訊ねた。意味不明…

花火の音

ドン。ドン。ドォ~ン。花火の音が我が家に響いた。どうやら、どこか離れた場所で花火大会が催されているようだ。音は聞こえて来るが、肝心の花火の姿は山に隠れて一切見えない。今頃、花火の打ち上げ場は見物客でごったがえしているに違いない。浴衣を着て…

お気に入りのご飯茶碗

私には、お気に入りのご飯茶碗がある。デパート福屋で吟味して選んだ唐津焼のご茶碗だ。ご飯を食べる際、いつも愛用している。私が美味しそうにご飯を食べていると、「いいなぁ~、いいなぁ~」と、妻が羨ましそうにご飯茶碗を見つめてくる。「私にも少し使…

妻がお気に入りのドライバー

妻は、ヤマト運輸のトラックが来ると慌ただしくなる。ドライバーに何かを手渡そうとするためだ。夏には炭酸ジュースを、冬には温かい缶コーヒーを振る舞う。ドライバーは3人ほどいて、日や時間によって担当が違う。妻は、その中でもK君がお好みのようだ。K君…

夢の中で

妻は朝から不機嫌だ。どうやら、夢の中で私が妻をいじめたようだ。そのことについて朝から文句を言われている。私は身に覚えのない罪を責められ続ける。ひたすら「ごめん」と言うしかない。妻には夢と現実の境はないようだ。この不機嫌は妻が夜寝るまで続く…

そこにピスタチオがあったから

我が家のリビングにピスタチオの袋が置いてあった。すでに開封されており、妻が食べた痕跡がある。中身はまだ8割以上残っている。おそらく妻は、ゆっくりと楽しみながら食べているようだ。私もピスタチオが食べたくなった。ナッツ系は私の好物なのだ。数粒袋…

我が家の小さなペット

我が家では、小指に乗る程度の小さなペットを飼っている。ペットと言っても何か世話をするわけではない。何もせずほおっておいている。私はそいつが愛くるしく、見つけると心がやわらぐ。だが、妻はあまりそいつもことが好きではないようだ。ぴょんぴょんと…

妻を撮影

妻は写真を撮られるのが苦手だ。極力写真に写らないようにしている。私は時々、嫌がる妻にカメラを向ける。年に何枚かは残しておきたいからだ。撮られることを観念すると、妻はいつもポーズを取る。『ポーズ』と聞くと、慣れたように思うだろう。だがそれは…

UNIQLOで靴下を買えず・・・

妻がUNIQLOに行く際、私も付き合う。私は買い物カゴに靴下を入れる。最近、靴下の爪先が薄くなってきたからだ。妻が「今日は安くないから駄目」と言うので、しぶしぶ元あった場所に戻す。UNIQLOに行くたび、同じ台詞を言われ、靴下が買えずにいる。あれから…

「この人」と「この子」

妻は、電化製品を「この人」と呼ぶ。たとえば、パソコンを長時間使っていると、「この人、今日長く働いているから、休ませてあげて」とお願いしてくる。それを聞いて私はパソコンを一旦閉じる。 妻は、昆虫を「この子」と呼ぶ。 たとえば、家の中に虫が入る…

TSUTAYAで『なめこ』のガチャガチャ

妻の付き添いでTSUTAYAに来た。何かをレンタルするために来たのでなければ、本を買うために来たのでもない。店前に並んでいるガチャガチャをするために来たのだ。 妻は、『なめこ』というキャラクターグッズにハマっている。文字通り、食べ物の〝なめこ”をモ…

本を捨てられない妻がとった行動とは

妻は本を捨てられない。そんな自分を変えようと妻は、掃除や断捨離の本を買う。今度は、それらの本が山積みになる。そんな自分を変えようと妻は、さらに掃除や断捨離の本を買う。本の山は、さらに大きくなる。

猫の貯金箱

台所の横の棚には、猫の置物がある。それも一番高い所に。妻が背伸びをして何やら猫の置物に500円玉を入れていた。それを偶然見て、貯金箱だと分かった。どうやら、いつも隠れて500円玉を貯金していたらしい。「見たな! 絶対に使わないでよ!!」と念を押さ…

ヤマト運輸と缶ジュース

私の会社では、ヤマト運輸に時々集荷を依頼する。回数は少なく、月に15回利用するかどうかだ。1回に出荷する数も少なく、毎回、1個口や2個口がほとんどである。 夏場の蒸し暑い中、小口なのにも関わらずヤマト運輸を呼ぶことに気が引けているのか、妻は運転…

さようなら白クマさん

映画『不都合な真実』には、温暖化で北極の氷が溶け白クマは生き場を失うというシーンがある。それを観た妻はショックを受けた。今の住まいに引っ越してきた初めての夏、妻は「白クマを守る!」と言い、我が家にエアコンを付けないと宣言した。扇風機と氷だ…