行雲流水

エッセイ

思い出した気持ち

ふと、起業初日を思い出した。
リスティング広告をセッティングして、いつかは入るだろう受注を待っていた。受注が明日になるのか、一週間後になるのか、はたまた一ヶ月後になるのかはわからない。なんせ、初めての市場に出す広告なのだから。

2時間後、電話が鳴った。
営業電話にしては、鼻が利く会社だと思った。先日登記を済ませたばかりなのにもう電話がかかってくるのだから。電話を取ると、リスティング広告を見た企業から仕事依頼だった。驚いて、変な敬語になった。

仕事の電話だと察して、緊張した面持ちで妻がココアを持ってきてくれた。そっと机に置ていく。「頑張って」の声が聞こえた気がした。

今日、Zoomでのコンサルティングの日だ。
クライアントとの話していると、7歳の息子が仕事部屋へ入ってきた。緊張した面持ちで、手にはコーヒーが入ったマグカップを持っている。「ありがとう」と小さく言ってマグカップを受け取る。

ふと昔感じた気持ちを思い出した。