行雲流水

エッセイ

黄色い花

仕事部屋の窓近くに置いてあった植物が枯れていた。
窓のカーテンが陰になり、気がつかずに放置してしまったのだ。枯れた植物を前にして「花を咲かさないからだよ。目立たないじゃないか」と呟いた。本当は、水やりが習慣化していなかった自分の所為だ。枯れた植物を玄関外に置き、庭の植木に水をやる。駄目もとで、枯れた植物にも水をやる。

仕事場に戻り、封筒を印刷する。あと20枚刷らないといけないのに、封筒が切れてしまった。仕方なく、近所のホームセンターに足を運んだ。ホームセンターの出入口では、色とりどりの草花が売られいた。

店内に入り、100枚入りの封筒を手に取る。レジで会計を済ませて、出入口に差し掛かった時、足が止まった。花を買おう。買いたいのではない。なんだか、買って育てなくてはいけない、そう思ったのだ。明るい黄色い花を手にして、「お前は目立つから、水やりを忘れないよ」と呟いた。

封筒と花をぶら下げて、帰宅する。買って来た花は、仕事机に置くことにした。白い壁に黄色い花は、よく映えていた。