行雲流水

エッセイ

むりくり

日本文化の一つに「包む」がある。
風呂敷で贈り物を包んだり、封筒でお金を包んだりと、日本人の生活に深く浸透している。食文化にもそれが表われている。「おにぎり」や「お饅頭」がそうだ。具を米や皮で包んでいる。こうした包む食文化があったため、日本にパンが伝来してからすぐに「あんぱん」が開発された。その後もカレーパンにシュークリームパンなど、西洋にはなかったパンが次々と生まれていったのだ。

一方、西洋は「挟む」文化が発展した。サンドイッチにハンバーガー、ホットドックなどがそうだ。こうして見ると、食文化にはその国の特徴がよく表われている。実に面白い。

私は時々、おにぎり専門店に立ち寄ってお腹を満たすことがある。梅にシャケに昆布など、質素な具が好きでよく注文する。ただ、こうしたおにぎり専門店でも「包む」から逸脱したおにぎりを必ず目にする。それは、「えび天おにぎり」といったものだ。長細いえびが包めるわけがなく、完全に飛び出ている。むりくり、ご飯と海苔で挟んでいる感じがする。それを見るたび心の奥底で「これは、おにぎりにしておにぎりであらず!」と叫ぶ。でも、時々注文してしまう。だって美味しんだもん。

でもやっぱり、「挟む」は日本の道にあらず。「挟む」に甘んじてはならない。いつしか、長細いエビやソーセージを包む食べ物が生まれる日が来るであろう。

PS
おっぱいで挟まれたい。