行雲流水

エッセイ

ヤマト運輸と缶ジュース

私の会社では、ヤマト運輸に時々集荷を依頼する。回数は少なく、月に15回利用するかどうかだ。1回に出荷する数も少なく、毎回、1個口や2個口がほとんどである。


夏場の蒸し暑い中、小口なのにも関わらずヤマト運輸を呼ぶことに気が引けているのか、妻は運転手のために冷蔵庫で缶ジュースを冷やしておき、集荷の際に渡すようにしている。渡された運転手は一瞬目を丸くし、感謝を述べて仕事に戻っていく。冷蔵庫にはいつもストックが置いてある。蒸し暑い中、妻が缶ジュースを箱買いしてくるからだ。


私が黙って缶ジュースを飲むと、「それはヤマトさんのだから飲んだらだめ」と注意される。運転手を想って言っているのか、箱買いするのが大変だから言っているのかは、私には分からない。


ただ一つ言えるのは、冷蔵庫を開けるたび、缶ジュースがいつも目に入る。冷蔵庫を開けるたび、妻の優しさがいつも目に入る。