行雲流水

エッセイ

さようなら白クマさん

映画『不都合な真実』には、温暖化で北極の氷が溶け白クマは生き場を失うというシーンがある。それを観た妻はショックを受けた。
今の住まいに引っ越してきた初めての夏、妻は「白クマを守る!」と言い、我が家にエアコンを付けないと宣言した。
扇風機と氷だけで耐え凌ぐ毎日。なんとか広島の厳しい夏をエアコンなしで過ごした。これには私もほどほど参った。

 

今年もまた夏が来た(もう過ぎたけど)。
さすがに妻も脱水症状に近い状態になり、泣く泣くエアコンを付けることにした。初めて我が家にエアコンが取り付けられ、冷房のスイッチを入れる。その際私は、「さようなら、白クマさん」と言い、それを聞いた妻は涙目になり、「白クマさん、ごめんなさい」とつぶやいた。


あれから4年。私は今でも時々「さようなら、白クマさん」と言い、冷房のスイッチを入れる。