行雲流水

エッセイ

無臭のトイレットペーパー

ホームセンターにトイレットペーパーを買いに行った。妻にお使いを頼まれたからだ。種類豊富に並んでいるが、そのほとんどは香り付きである。無臭のトイレットペーパーを探しているのだが、見つからない。だんだん腹が立ってきた。

なぜ、トイレットペーパーに香りが必要なのだろうか。誰かがお尻の臭いを嗅ぐというのか。否。否なはず! ではなぜ、こんなにも香り付きばかり売られているのだろうか。これが世の中のニーズなのか。そんなにもお尻に香りをつけたいのか。

理不尽な現実に憤りを覚えつつ、探すこと5分、ようやく無臭のトイレットペーパーらしきものを見つけた。再生紙で作られたペーパーのようだ。しかし、私は躊躇した。再生紙はえてして固いものが多い。私のお尻はとてもデリケートなのだ。できることなら、柔らかいものがいい。再度、トイレットペーパーのコーナーを見て回る。ようやく、無臭らしきトイレットペーパーを見つけ、レジへと向かった。

帰宅。トイレットペーパーを見て妻は不満げな顔をした。「これ、香り付きよ」。脱力、憤慨、挫折。3つの感情を同時に味わった。自転車のカゴに先ほど購入したトイレットペーパーを乗せ、ホームセンターへ。くそ、くそ、くそ。ペダルをこぐ足に力が入る。購入したトイレットペーパーを再生紙のトイレットペーパーに取り換えてもらう。

帰宅。疲労したため寝入る。