行雲流水

エッセイ

ちんちん大好き、よし子ちゃん

私には、同じ年の親戚がいる。てっちゃんのお姉ちゃんである。
名前は、よし子。彼女は僕の目から見ても、本当に、本当にキチガイだった。中2あたりからだろうか、それまでそこそこ秀才だった彼女だが、突如として、ちんちんに目覚めたのである。てっちゃんのマイクロペニスが端を発しているのかどうかは分からないが、異常にちんちんが大好きになった。

彼女の部屋はちんちんグッズで溢れかえった。女子らしさの面影は微塵もない。身に付けるアクセサリーもちんちんばかり。特に驚いたのは、携帯電話のアンテナがちんちん形のものだったことだ。こんなアンテナを立てながらこいつは電話をしているのかと、愕然とした。終いには、「よし子」を「ちん子」に改名したいとまで言い出した。高校に入り、ぱたりと合わなくなった。たぶん、10年間は会っていなかったと思う。


祖母が入院した時のことだ。
私と弟が見舞いに行き、祖母はとても嬉しそうだった。「よし子からも手紙が来ているんだよ」と、手紙を僕に見せてくれた。そういえば、よし子はおばあちゃん子だった。横浜にいてなかなか会いに来れないため、手紙をよこすみたいだ。キチガイで変態だが、いいところもある。10年会わない間に、まともになっているんだろう。そう思った。

手紙にはこう綴られていた。
「おばあちゃん、なかなか会いに行けなくてごめんね。最近、新しい彼ができました。前の彼とは喧嘩別れしちゃったんだ。でも、すぐに新しい彼ができたの。写真も送るね。今の彼ね、すっごくちんちんが大きいの。本当に素敵。大好き♪」
性分は、何も、何一つ変わっていなかった。