行雲流水

エッセイ

美味しい性格

シンガーポールにて。
午前中の商談が一段落したため、商談相手と昼食を取ることとなった。食事場所は、商談相手が行きつけの中華料理店。お店まで車で送ってもらった。

出てくる料理はどれも美味しい。私も10回近く中国に行っているため、それなりに中華料理は食べてきたが、その経験に照らしてみてもレベルが高いことがわかる。だが、私以上に感動していたのが、連れのNさんだった。

「このスープ、ツバメの巣ですよ」「これ、淡水魚で最も高級な魚ですよ」と、出てくる料理の食材を一つひとつ解説してくれた。ただ、残念なことに、すべての食材を言い外していたのだ。スープはツバメの巣じゃなかったし、淡水魚ではなく海水魚のタラだった。

外れても気にしないNさん。「そう言われればタラですね。タラってこんなに美味しかったんですね」と、2度感動している。彼は、本当に憎めない性格をしている。

最後に出たデザートには、「これ、かぼちゃのデザートですよ」と言っていたが、マンゴーのデザートだった。