行雲流水

エッセイ

そんなこと聞くなよ

息子を抱っこしている時、たまに聞くことがある。「パパのこと好き?」と。息子は「好きー!」と大きな笑顔でいつも答えてくれる。その後は決まって、「パパも○○のこと好きー!」と言いながら、むぎゅーと身体がくっつくほど強く抱きしめる。

ある日、またいつものように聞いてみた。「パパのこと好き?」。息子は照れ笑いを浮かべながら答えた。「どうしてそんなこと聞くの? 好きに決まっているじゃん」。「うん、そうだね。変なこと聞いてごめんね」と返すのでいっぱいだった。

知らぬ間に、いつの間にか息子は男になりつつあった。もう聞かないよ。でも、やっぱり聞きたくなっちゃうな。