行雲流水

エッセイ

一枚の絵

我が家のリビングには、一枚の絵が飾られている。2年前、私が暇つぶしに描いた菜の花の絵だ。なぜそんなものが飾られているかと言うと、私の描いた絵を見た妻が、「この絵、好き。家に飾ろう」と言い出したからだ。自分ではうまいと微塵も思わない。「いいよ、こんな絵を飾らなくても」と断ったのだが、妻は飾ることを譲らなかった。まぁ、家に誰かが来るわけでもないしと思いしぶしぶ承諾した。それからというもの、妻は時折絵を見ては「うん。いい絵だ」と一人頷いている。そう言われて、私も悪い気はしなかった。
先日、妻に尋ねてみた。「この絵に値段をつけるとしたらいくら?」。妻はパンをかじりながら答えた。「200円」。コノヤロウ。