行雲流水

エッセイ

使用済みパンツを売りたい

大物のアスリートや歌手が身に付けていたものが、「○○○万円で落札された」といったニュースを時々目にする。最近で言えば、羽生選手の靴が850万円で落札されたと聞く。「他人が使った物を買って何になるのだろう」というのが、私の率直な感想なのだが、嗜好や価値基準は人それぞれなので、それはよしとする。

この手のニュースを耳にするたび、思い出すことがある。田舎街でよく目にした昔懐かしいエロ専用の自動販売機である。道の一角に簡単な塀で囲まれた中にそれはあった。大きさは通常の自販機の約二倍以上、それが3~4つほど並ぶ。

売られているのは、ビデオや雑誌の類がほとんどなのだが、誰か(女性)が履いた染みつきパンティも売られていた。「こんなパンティを買う奴は変態だな」と思いながら、店頭では手に入らないハイレベルな雑誌を時々買っていた。

私の目から見て、「アスリートや歌手の道具を買う人」も「染みつきパンティを買う人」も、同じレベル(構造)である。単に嗜好が違うだけの話だ。どちらかがどちらかをバカにすることはできないし、上も下もない。

先述しているように、私はどちらにも価値を感じていない。ただ、買われる側になれたらいいなとは思う。できれば、私が身に付けていた物が高値で買われるようになりたい。それぐらいの大物になりたい。

私もいつか事を成し、私が履いていたパンツが高値で売買されることを切に願う。