行雲流水

エッセイ

2013-10-08から1日間の記事一覧

二人の夢

「盛田に会いに行ってみるか」。そう提案したのは、柳田だった。俺と柳田は車に乗って移動しており、盛田の家の近くをたまたま通りかかったところだ。「おぉ、それいいね。俺、数年あいつに会ってないわ」と返事をすると、柳田はすぐに携帯を取り出し、盛田…

私の手料理

私は、私の手料理を美味しく食べる旦那を見るのが大好きだ。毎晩、腕によりをかけて作っている。旦那も喜んでおり、お腹がぽっこりと膨れあがるまで食べてくれる。もう充分に肥えてしまい、メタボの一つの指標であるウエスト85cmはゆうに超えている。私はそ…

貸した金

「永井の奴、貸した2万円返してこないんだよな」。俺は弟に愚痴った。人に貸した金の話を他人にするのは、あまり良くないと思っていたが、あまりにも永井の梨の礫な態度に苛立ち、つい愚痴ってしまったのだ。弟は「ふぅ~ん。あぁそう」と返事しただけでさ…

そういうことか 2

「正俊、近所迷惑になるから止めなさい」。母親は迷惑そうな顔をして弟に注意をしていた。弟は「あぁ、分かったようるせえなぁ」と不機嫌そうに答えている。まぁ、いつものことだ。弟は単車を走らせるのが好きで、毎晩のようにうるさいコールを切りながら走…

そういうことか 1

「正俊、近所迷惑になるから止めなさい」。母親は迷惑そうな顔をして俺に言う。「あぁ、分かったようるせえなぁ」。俺は不機嫌そうに答えた。母親が止めているのは、俺が単車に乗ってコールを切ることだ。俺の家は住宅街にあり、改造したマフラーでコールを…