行雲流水

エッセイ

2013-01-01から1年間の記事一覧

そういうことか 1

「正俊、近所迷惑になるから止めなさい」。母親は迷惑そうな顔をして俺に言う。「あぁ、分かったようるせえなぁ」。俺は不機嫌そうに答えた。母親が止めているのは、俺が単車に乗ってコールを切ることだ。俺の家は住宅街にあり、改造したマフラーでコールを…

とんかつ定食

「昨夜未明、○○市○○町の民家で殺人強盗事件がありました」。TVから流れてくる暗いニュースを、いきつけの定食屋でとんかつ定食を食べながら見ていた。この店は古びたシャッター街にある定食屋だが、もうかれこれ20年以上通い続けている。「まったく、最近は…

SNS

ここは、とある地域の有名なレストラン。加奈子と真弓はランチをしに来ていた。カシャ。加奈子はiPhoneのカメラで運ばれてきたランチを撮影してSNSに投稿する。すぐにたくさんの反応が返ってきた。それを確認してからランチを食べ始める。毎度のことだ。 一…

じゃれているだけ

2011年7月20日村上タケルは亡くなった。享年14歳。死因は飛び降り自殺だった。遺書は見つかっておらず、部屋からは無数の落書きや破れのある教科書やノートが出てきた。また、以前からタケルの眼鏡はよく壊れ、靴も度々紛失している。あれはいじめだったので…

臓器売買

俺は今、とある東南アジアの高級ホテルのbarで、一人カクテルを飲んでいる。今月は仕事の調子が良かったので祝杯をあげているところだ。俺の仕事は、この国の闇組織から臓器を仕入れ、それを日本人に売ることだ。臓器はいくらあっても困らない。日本人はいく…

募金

「募金をお願いします」。駅の外は、通行人に募金を呼びかける若い男女10名の声が響いていた。冬の寒さが身に染みる一月中旬のことだ。正確な日にちは覚えていない。彼女らから5mほど離れた場所に青いベンチがあり、私はそこに座って彼女らをじっと見つめて…

男の偽りと女の嘘

顔を整形した。女に復讐するために。俺は容姿が悪く、モテたためしがない。モテないだけならまだいい。女からはまるで汚物に触れるかのように接せられ、卑下され続けてきた。俺を蔑んできた女が許せなかった。整形してからまるで人生が変わったようだ。パー…

パーティーのやり過ごし方

普段、パーティーには出席しないが、付き合いなどで行くことがまたにある。パーティーはバイキング形式が多い。私は人見知りのため、一人でビールを飲み、一人で食事をする。並べられたおかずを盛っていると、後ろから「お久しぶりです」と、知らない人から…

殺し屋の信条

俺は殺し屋。金さえもらえれば誰だって殺す。どんな仕事も断らない。それが俺の信条だ。 今日は川西という依頼人から受けた殺しの仕事がある。なんでも村上という人間を消してほしいんだとか。何か恨みがあるのかもしれないが、まぁ、動機など俺には関係ない…

パンツのゴムと現実

UNIQLOでパンツを4枚買う。今回もMサイズだ。以前より太ったので、正直少しきつい。だが、サイズアップは、なんだか負けたようで嫌だ(何と戦っているんだ?)。 数日後、買ったパンツを履いてみた。4枚とも同じMサイズだが、きつさが違う。緩いのときついのが…

UNIQLOで靴下を買えず・・・

妻がUNIQLOに行く際、私も付き合う。私は買い物カゴに靴下を入れる。最近、靴下の爪先が薄くなってきたからだ。妻が「今日は安くないから駄目」と言うので、しぶしぶ元あった場所に戻す。UNIQLOに行くたび、同じ台詞を言われ、靴下が買えずにいる。あれから…

タピオカとの格闘

先日、あるカフェでタピオカ入りの飲み物を注文した。実は私、タピオカが好物だ。あのぷにゅぷにゅとした食感がたまらなく好きだ。まるで、男性が大好きな女性の○○○○を彷彿とさせる。 それはともかくとして、私はタピオカ入りの飲み物を注文した。大抵この手…

「この人」と「この子」

妻は、電化製品を「この人」と呼ぶ。たとえば、パソコンを長時間使っていると、「この人、今日長く働いているから、休ませてあげて」とお願いしてくる。それを聞いて私はパソコンを一旦閉じる。 妻は、昆虫を「この子」と呼ぶ。 たとえば、家の中に虫が入る…

バンドを誘いに行ったらバイクが盗まれた

(今朝見た夢がやたらとリアリティがあって面白かったので書き残すことにしました)以下は、夢の中の話です。 仕事が上手くいかなくなった俺は、少し離れたデニーズでバイトをすることになった。一番忙しい昼からの3時間、特別にバイトを体験させてもらった…

TSUTAYAで『なめこ』のガチャガチャ

妻の付き添いでTSUTAYAに来た。何かをレンタルするために来たのでなければ、本を買うために来たのでもない。店前に並んでいるガチャガチャをするために来たのだ。 妻は、『なめこ』というキャラクターグッズにハマっている。文字通り、食べ物の〝なめこ”をモ…

初めての小説 | 『S』

お昼どきを外した午後の2時。私と理香子は、人がまばらな喫茶店にいた。ここの喫茶店は、正午以外は客の出入りが少ない。それを知ってこの場所を選んだ。3組ほど客がいるのを確認し、出来る限り周りに人がいない席に座った。注文を受けにくる店員に「珈琲、2…

多目的トイレ

とある駅の多目的トイレ。学生の男女二人が出てきた。まるで、恥ずかしそうにラブホから出てくるカップルのように。「さすが多目的、何でもアリなのか」と仰天する。

母からの贈り物

母から荷物が届く。箱を開けてみる。長野のりんご1箱、羊羹菓子2箱、インスタント珈琲が2つ。こうして、母から贈り物が届くことは珍しくない。ただ、正直に言えば、2人暮らしの私たちからすると、同じ物がまとまって届くのは結構きつい。文句を言うのもお…

本を捨てられない妻がとった行動とは

妻は本を捨てられない。そんな自分を変えようと妻は、掃除や断捨離の本を買う。今度は、それらの本が山積みになる。そんな自分を変えようと妻は、さらに掃除や断捨離の本を買う。本の山は、さらに大きくなる。

健康診断行ってきたよー

今日、健康診断に行って来たよー。 まず始めに、身長と体重を測定。 身長伸びてたー。2センチも! そのあと採血したけど、注射刺されるの怖いから、近くの美人さん見てたら、チクってした。痛 次は、超音波で内臓を診てもらったよ。診る前にジェルでお腹から…

猫の貯金箱

台所の横の棚には、猫の置物がある。それも一番高い所に。妻が背伸びをして何やら猫の置物に500円玉を入れていた。それを偶然見て、貯金箱だと分かった。どうやら、いつも隠れて500円玉を貯金していたらしい。「見たな! 絶対に使わないでよ!!」と念を押さ…

散歩ついではよく忘れる

夜、ダイエットついでに散歩をする。「帰りにアイス買ってきて」と、妻に言われる。散歩に出かける。1時間ほど歩き、アイスのことを思い出す。コンビニに行く。週刊誌を立ち読みする。コンビニを出る。家に着く。「アイスは?」と言われ、もう一度コンビニに…

細かすぎて伝わらないフェチ

私は熟女好きである。それ自体はさして珍しくはないが、私には細かいフェチがある。それはメガネだ。 メガネフェチなら珍しくないよ、とあなたは言うかもしれない。だが、私はただのメガネフェチではない。 具体例を言おう。ある日突然、40代半ばの女性がメ…

ヤマト運輸と缶ジュース

私の会社では、ヤマト運輸に時々集荷を依頼する。回数は少なく、月に15回利用するかどうかだ。1回に出荷する数も少なく、毎回、1個口や2個口がほとんどである。 夏場の蒸し暑い中、小口なのにも関わらずヤマト運輸を呼ぶことに気が引けているのか、妻は運転…

さようなら白クマさん

映画『不都合な真実』には、温暖化で北極の氷が溶け白クマは生き場を失うというシーンがある。それを観た妻はショックを受けた。今の住まいに引っ越してきた初めての夏、妻は「白クマを守る!」と言い、我が家にエアコンを付けないと宣言した。扇風機と氷だ…

俺、知ってましたから

今日一人でラーメン食べに行ったんだよね。で、ラーメン食べてて、身体が熱くなったからさ、お冷飲むじゃん。そしたらさ、お冷のウーロン茶がなんか不思議な味がしたわけよ。あれ、なんか違うなって思って、何度か口にして確信してからさ、店員(女の子)に…